伊集院から
青い空に視線を移して、
ため息をつく。


「まあさ、
気長に頑張っておけば?」


「気長に頑張ってたら、
どうにかなんのかこれは?」


「お前のやり方次第だろうな」


伊集院の言葉に、
ガシガシと頭をかきむしる。


簡単にどうにかなることなら、
こんなに苦労はしない。


「一ノ瀬、器用そうに見えるのに、
天野さんのことになると全然ダメだよな」


伊集院の言葉に、

手にもっていたスポーツドリンクを
一気に飲み干した。


「誰にでもヘラヘラ笑って
話しかけられる伊集院が、
特殊すぎるんだよ」


「一ノ瀬は
女子に追いかけまわされすぎて
完全にトラウマになってるからな」


「お前みたいには絶対になれない。
ある意味尊敬するよ」


そう言って肩をすくめると、
伊集院が顔をしかめる。


「俺は女兄弟で育ったからな。
ネェちゃん3人だぜ?

マジ、女って敵に回すと怖いからな。

お前もうちで1か月くらい暮らしてみるか?
多少は慣れるかもよ」


「いや、勘弁。
きっとますます苦手になる」


「あ、それ間違えない」


そう言って笑った伊集院が、
大きくあくびをしながら呟く。


「でも、アイツには敵わないけどな」


「あいつ?」