えーっと。

朝歌の言葉に、
一ノ瀬くんとの今日の会話を
思い返してみても、

特別なことはなにもなく。


「いつもどおりだよ」


「いつもどおりって?」


「今、何時間目? とか、
授業はじまったら起こしてとか。

あ、私も起こされた!」


「……そっか」


「たしかに、
甘い雰囲気とか皆無だったよね。
ふたりそろって居眠りはしてたけど」


「羽衣、本当に転んだだけなんだね。
とにかく、ケガしなくて良かったよ」


「は、はは。噂って怖いね…」


本当に、
今朝のあれは、
なんだったんだろう?



「でも、まだ羽衣だから
半信半疑で済むけど、

リアルなコだったら
ものすごい嫌がらせされてそうだよね」

ん? 半信半疑?

私は、
リアルなコじゃないのかな?


「そもそも、羽衣じゃなかったら、
いつも一ノ瀬くんの隣の席とか
許されないだろうしね」

えーっと……

神妙な顔つきのふたりを
ちらりと見上げて、

思い切ってたずねてみる。


「あ、あの、
そんなに、私って、女子力ないかな?

もう、女子のカテゴリーから
完全に外されちゃってる感じ?」


さすがにここまで言われると、
心配になってくる。


「むしろ人間力が高すぎて、
安心感が半端ない感じ?」


にっこり笑った叶奈ちゃんに
首をかしげる。


「これって、褒められてるの?」



「「ものすごく」」


ふたりがおおきく頷く。


「そっか!」


それなら良かった!