隣のキミをもっと溺愛、したい。

「なんだよ、いきなり」


「お前のほうこそ、
いきなりなんなんだよ?」


茶髪を全力で睨みつけると、

にやりと意地悪く
その茶髪が口元を緩めた。


「あのさ、うちの羽衣に何か用?」


「礼くんっ!」


真っ赤になって声を張る天野を、
茶髪が余裕の笑みでかわしている。


「羽衣は相変わらず天使だなあ。
怒った顔も可愛いぞ」


茶髪が軽薄な笑顔を浮かべて
天野の頭にのばしかけた手を、

ぐっとつかんだ。


「天野に、触るな」


低い声を出すと、

茶髪が凄みのある表情を
俺に向けて、

肩をすくめる。


「羽衣、このでかいクソイケメンは誰? 
羽衣の知り合い?」


パッと乱暴に手をはらわれて、
そいつへ向ける視線を
ますます尖らせる。


「同じクラスの
一ノ瀬くんだよ」


「へー、一ノ瀬くんね。

羽衣、この生意気そうな
クソイケメンと付き合ってんの?」


「ま、まさか!」


ぶんぶんと頭をふる天野を見て、
茶髪が憐むように、眉を上げる。


「そうなんだ。
残念だったな、『一ノ瀬くん』。

ってことで、
今後一切、俺の羽衣には
近づかないように」


「は?」


俺の、羽衣?


「だから、
俺の天使に近づくなって
言ってんだろ。

お前、バカなの?」



天野に背中を向けて、

天野には聞こえないように、
小声で早口でまくしたてた茶髪に、

はらわたが煮えくり返る。



「礼くん! 
一ノ瀬くんに、何を言ったの?」


「さあ?」


動揺しまくっている天野のことを、
手慣れた様子で

茶髪が軽くかわしている。


「羽衣はなにも気にしなくていいんだよ。
じゃあな!」


くしゃっと天野の頭をなでると、

天野にだけ柔らかい笑顔を残して
その茶髪は去っていった。