隣のキミをもっと溺愛、したい。

「それで、
途中ですごく怖くなって。

手を振り払って、
神社の裏にある
ひまわり畑に逃げ込んだの。

暗闇のなか必死に走ってね。

どうか見つかりませんようにって、

ひまわり畑のなかで
体をちいさくして隠れたんだけど、

そのおじさんが
すぐに追いかけてきて」


小さな花の苗を植え替えながら、
ぽつり、ぽつりと続きを話す。


『ああ、もう見つかっちゃう!』
って、思った瞬間に、

大きく風が吹いて、
揺れるひまわりの花が
そのおじさんの視界を遮って
私を隠してくれたの。

それからしばらく強い風が続いて。

まるでそのおじさんから
大きなひまわりの花や葉っぱが、
私の姿を隠してくれるみたいだった」


いまだにあの時のことを思い出すと、
背筋がひやりとする。


「で、大丈夫だったのかよ」


一ノ瀬くんの目が心配そうに揺れる。


そんな昔のことを心配してくれるなんて、
一ノ瀬くんは、優しいな。


「うん、大丈夫だった。

そのおじさんに見つかるより先に
家族が見つけてくれたの。

そのときにね、
花の神様が私のことを
守ってくれたんだって思ったの。

花籠神社の神様って、
花とか植物の神様なんだって」


「無事だったってことだよな?」


「うん、無事だった。

それでね、
ちゃんとお花の世話をして
あのときの恩を返したいなって。

ほら、ここ、日陰だから枯れやすくて」



見上げると、
ベンチに座っている一ノ瀬くんの
優しい眼差しに包まれた。