隣のキミをもっと溺愛、したい。

「花籠神社って知ってる? 
佐助山のふもとにある神社」


「ん」


遠くに見える佐助山に、
ゆっくりと視線を馳せる。


「小さいころに、
花籠神社のお祭りで迷子になってね。
そこで誘拐されそうになっちゃって」


「は⁈ 誘拐⁈」


一ノ瀬くんが驚いて目を見開いた。


「気が付いたときには
知らないおじさんに
手をひっぱられていて、

暗いところに
連れていかれそうになって」


そこまで話したところで、
一ノ瀬くんの表情が
硬く強張っているのを見て

はっとする。

こんな話、
聞きたくなかったかも!
 

普段は絶対に
口にすることのない話なのに、

一ノ瀬くんと一緒にいると
ふっと気が緩んでしまう。


「それで?」


一ノ瀬くんの
強い瞳にうながされるように
言葉をつづけた。