うちの学校は
文武両道を謳う進学校で、

スポーツ推薦を積極的にとっている。


それだけあって、
大きなグラウンドが2面、
体育館もふたつ、

そのほか武道場や弓道場も
完備されている。


ひとつのグラウンドでは
野球部が、

もうひとつのグラウンドでは
サッカー部が練習をしていて、

どちらのグラウンドも
たくさんの女の子で囲まれている。



「うわあ、すっごい人だね」


その光景を見て、
三人で目を見開いて驚いた。


「あ、鷹島先輩もう来てるよ!」


叶奈ちゃんの視線の先には、

グラウンドの入り口で
女の子に囲まれている茶髪の先輩。


差し入れを受け取りながら、

女の子たちひとりひとりに
笑顔を返している。


「うわ、差し入れ全部受け取ってるよ。
やっぱり、優しいねっ」


「一ノ瀬くんは
一切、そういうの受け取らないって
いうからね」


「見て、あの笑顔っ! 

鷹島先輩の
あの甘い笑顔をもらえるなら、

応援、頑張るよねっ」



栗色の髪を揺らして、
目じりを下げて、

ひとりひとりに、
にっこりと笑いかけている
「鷹島先輩」を見て固まった。


鷹島先輩を囲んでいる女の子たちは、
その姿と笑顔にうっとりとしている。


「なんだか、
本物のアイドルみたい…」


叶奈ちゃんがボソッと呟いた。