飾られている婚姻届けのコピーを
撤収するために、

お姉ちゃんと礼くんは、
礼くんの部屋にふたりで行ってしまい、

一ノ瀬くんとふたりで残されてしまった。


「ごめんね、いろいろびっくりしたよね?」


私は慣れてるけれど初対面の一ノ瀬くんは
かなり驚いたはず。

すると、ぼそりと一ノ瀬くんが呟く。


「鷹島先輩、
学校でのイメージとかなり違うよな?」


そんな一ノ瀬くんに、
コクコクと頷く。


「私もアイドルしてる礼くんを
見たときには、本当にびっくりして。

いまだに、ニコニコ笑って
愛想を振りまいてる礼くんには
慣れなくて……」


うなずきながら、一ノ瀬くんが苦笑い。


「礼くん、
昔は、ものすごいいじめっ子だったの。

私は年下だったし、
そんなにいじめられたことは
なかったんだけど」


納得するように
大きくうなずく一ノ瀬くん。


「それで、礼くん、
一時期ちょっと柄悪くなりすぎて、
日本の学校に通えなくなっちゃって。

インターナショナルスクールに通ったり、
留学したりしてたんだけど」


「……そんなに、悪かったんだ」


「うん、かなり、悪かったんだと思う。
留学したときにも、
実は服役中なんじゃないか、
とか色々な噂が立って可哀そうだったよ」


「……へ、へえ」