「相変わらず羽衣は可愛いな、天使だな」


「ちょっと、キモイから。 
うちの妹に近づかないでよ。変態」


お姉ちゃんが礼くんを睨みつけると、
礼くんが声を尖らせる。


「はあ、うるせえな! 
って、言いたいとこだけど、
さすがに、無理!

リラ、めちゃくちゃ可愛い。マジ女神」


「キモ。ごめんね、
こんな変なのがついてきちゃって」


すると、お姉ちゃんが
目を細めて

ホッと短い吐息をついた。


「それより、羽衣が大丈夫そうで、
ホントに安心した。

やっぱり自分の目で
元気になった羽衣を確認しないと
落ち着かなくて!」


「心配かけてごめんね」


お姉ちゃんに小さく謝ると、
一ノ瀬くんが立ち上がる。


「天野がケガした責任は俺にあるんです。
ちゃんと天野のこと守ってやれなくて、
本当にすみませんでした」


一ノ瀬くんが憂いを湛えた瞳で
深く頭を下げると 

お姉ちゃんがカラリと笑う。


「じゃ、一ノ瀬くん!
責任とって、
羽衣のことお嫁にもらって!」


「お、お姉ちゃん!」


ゴホゴホとむせ返ると、
お姉ちゃんがニッコリと微笑む。