隣のキミをもっと溺愛、したい。

手をつなぎながら教室にもどると、
あちらこちらから

ヒソヒソとした低い声が聞こえてくる。


「天野、気にするな。
そのうち周りも慣れる。

だから堂々としてろ」


「うん」


ギュッと強く一ノ瀬くんの手を握って、
教室に戻った。


自分の席に座ると、一ノ瀬くんは
風に前髪をそよがせて、
気持ちよさそうに目を伏せている。

一ノ瀬くんのアーモンド形の瞳をふちどる睫毛にキラキラと光が跳ねる。


「一ノ瀬くん……」


「ん?」


勇気をだして、一ノ瀬くんに声をかける。


「もう、手、はなしてもいいですか?」


「なんで?」


……なんで? 

むしろ、なんで?


「なぜなら、ここは教室で、
もうすぐ授業が始まるから?」


「ダメ?」


甘えた顔をする一ノ瀬くんに、


「だめ!」


と、はっきり答える。


朝歌と叶奈ちゃんが、私に気を遣って、
手をつないでいることに
触れないでいてくれるのが、

かえって辛い。


「さっき、
もっと恥ずかしいことしたのに?」


「わ、わ、わ、わあっ!」


にっこりと笑って、
とんでもないことを言い出した一ノ瀬くんの口を必死でふさいでいると。


「天野、静かにしろー!」


教室に入ってきた前川先生に
怒られました。


ううっ、私は悪くない……