「あの時も、きっと、
そんな顔したんだろうな」


「?」


「中三のとき、塾の帰りに
バス停まで一緒に帰った時のこと、
覚えてる?」


「うん?」


「あのとき、
俺が別れ際に天野に言った言葉だよ。

でも天野は、にっこり笑って
『バイバイ』って。

つまり、俺は会って10分で
天野に振られた」


「……え?」


想像もしていなかった出来事に
目をパチクリとさせる。


「まぁ、聞こえてなかったんだろうけど。

だから、
入学式で天野を見かけたときから
もう一度天野に告白しようって決めてた」


「ご、ご、ご、めんなさいっ!」


「いいよ、だってこれからずっと
一緒にいられるわけだし。
それに」


にっこりと無邪気に微笑む一ノ瀬くん。