翌日、
朝のホームルームを終えて
眠たい目をごしごし擦っていると、

叶奈ちゃんがやってきた。


「羽衣ちゃん、おはよう。
あれ? なんだか眠そうだね?」


「うん、昨日の夜、なかなか寝つけなくて」


と、言ってるそばから、
あくびが零れる。


「どうしたの?」


「夜中まで漫画読んじゃって、
止まらなくなっちゃった!」


笑って答えたものの

本当は、昨日の一ノ瀬くんのことが
気になって、

あんまり眠れなかった。


ポケットから
メンソールの飴をとりだして、
ぱくっと食べると、

隣の席の一ノ瀬くんと目が合った。


一ノ瀬くんが
小さく笑ったような気がして、

ドキっと
心臓が飛び跳ねる。


いつも通り! いつも通り! 


呪文のように唱えて、
手のひらに飴をのせて差し出した。


「食べる? 
すごいスースーするよっ」


すると、
手のひらのアメを
ちらりと見つめた一ノ瀬くんが、

困ったように動きを止めた。