夕陽に包まれて、
微笑む天野の姿があった。


「一ノ瀬くん!」


瞳を輝かせて、無邪気に笑う天野に
胸の奥が熱くなる。


「天野、勝ったよ」


「おめでとうっ!」


「ん、最高に頑張った」


うなずく天野の瞳が
みるみるうちに涙で潤んでいく。


「天野、来てくれて、ありがとう」


涙ぐむ天野に、
伝えたいことがたくさんある。



「中途半端な態度ばっかりとって、
ごめんな、天野」


無言で首をふる天野の髪が、
冷たい風に柔らかくそよぐ。


グラウンドでは野球部の掛け声が
大きく響いている。


深く息をすうと、

瞳を濡らす天野を
ただまっすぐに見つめて、

ずっと抱えてきた想いを
言葉にのせた。


「俺は、天野が好きだ」