隣のキミをもっと溺愛、したい。

「……嘘、だろ」


「あのとき、神社で幸せそうに笑ってる
天野さんにイラ立って感情的になった。

衝動的に、天野さんのこと突き飛ばしたの。

でも、階段から落とそうなんて
本当に考えてなかった。

よろけた天野さんが
混んでたはずの人混みに
吸い込まれるように倒れていって。

天野さんが石段から転げ落ちていくのを見て
怖くなって、逃げたの」


「お前……」


全身の血が逆流するような怒りに
言葉を失った。


「誰にも言えないまま
時間だけが過ぎていった。

そしたら、
天野さんを突き落としたのは
一ノ瀬のファンのコだってことになってた」


「ふざけんなよっ!」


葉月に詰め寄ると、葉月も声を荒げた。


「羨ましかったの!

いつも一ノ瀬のとなりに座っていて
一ノ瀬に笑ってもらえる天野さんが。

一ノ瀬、天野さんにだけ笑うでしょう?

一ノ瀬のことを追いかけて
この学校まで来ても、

どれだけ部活で一緒にいても、

一ノ瀬に見向きもされなかった。

一ノ瀬と天野さんの距離が近付いて、
不安になったの。

でも、ごめん、本当にごめんなさい」


「だからって、
なんで天野に手を出すんだよ!

文句があるなら俺でよかっただろっ!」


渦巻く感情に、震える声を絞り出した。


「本当に、突き落とそうなんて、
思ってなかった。

でも、私があんなことしなければ。
……ごめんなさい」


うなだれる葉月に、声を落とす。


「それは、天野に言えよ。
あいつが記憶なくして、
どんだけ苦しんでるか知ってて…」


「知ってるの」


「え?」


「天野さん、私が突き落としたこと、
知ってるの」