【一ノ瀬 side】
まだ日が昇る前の薄暗い時間に石段を登り、
花籠神社の賽銭箱の前で手を合わせる。
どうか、天野をお守りください。
どうか、天野が
今日一日を無事に過ごせますように。
目を瞑り、
いつもと同じ願いを心のなかで唱えると、
ぐるりと境内を見渡す。
朝つゆがみずみずしく輝く花々に、
朝陽がキラキラと反射している。
その美しい光景を
ふと天野に見せたいと願い、
その思いを打ち消すように頭をふる。
すると、神社の奥で
倒れた花々を植え替えているひとがいた。
いぶかしんで様子を伺っていると、
すぐ横に置かれたリヤカーが
強い風にぐらりと揺れて、倒れかかる。
すぐに駆けつけてリヤカーを支えると
しゃがみ込んで作業していたひとが
目を細めて、顔を上げた。
「ああ、悪いね。
昨日の夜は風が強かったから
ちょっと気になってね。
植え替えるなら早い方がいいから」
「こんなに早い時間に、ですか?」
そうたずねると、
そのひとは
重そうな肥料やコンテナーを運びながら
穏やかな笑顔を見せた。
「私は風谷という者でね、
先祖代々、
この神社で守り人と言われる仕事を
務めさせてもらっていてね。
ここの神社の花や草を守るのが
我々の仕事なんだよ」
風谷さんの言葉に
ゆっくりと顔をあげる。
「守るのが、仕事?」
穏やかな表情でうなずいた風谷さんに、
乾いた声を洩らす。
まだ日が昇る前の薄暗い時間に石段を登り、
花籠神社の賽銭箱の前で手を合わせる。
どうか、天野をお守りください。
どうか、天野が
今日一日を無事に過ごせますように。
目を瞑り、
いつもと同じ願いを心のなかで唱えると、
ぐるりと境内を見渡す。
朝つゆがみずみずしく輝く花々に、
朝陽がキラキラと反射している。
その美しい光景を
ふと天野に見せたいと願い、
その思いを打ち消すように頭をふる。
すると、神社の奥で
倒れた花々を植え替えているひとがいた。
いぶかしんで様子を伺っていると、
すぐ横に置かれたリヤカーが
強い風にぐらりと揺れて、倒れかかる。
すぐに駆けつけてリヤカーを支えると
しゃがみ込んで作業していたひとが
目を細めて、顔を上げた。
「ああ、悪いね。
昨日の夜は風が強かったから
ちょっと気になってね。
植え替えるなら早い方がいいから」
「こんなに早い時間に、ですか?」
そうたずねると、
そのひとは
重そうな肥料やコンテナーを運びながら
穏やかな笑顔を見せた。
「私は風谷という者でね、
先祖代々、
この神社で守り人と言われる仕事を
務めさせてもらっていてね。
ここの神社の花や草を守るのが
我々の仕事なんだよ」
風谷さんの言葉に
ゆっくりと顔をあげる。
「守るのが、仕事?」
穏やかな表情でうなずいた風谷さんに、
乾いた声を洩らす。



