隣のキミをもっと溺愛、したい。

放課後、帰りのミーティングを終えて
ボールを片付けていると、
女バスの葉月に声をかけられた。


「一ノ瀬、帰り、ちょっといいかな。
一緒に帰れる?」


「なんで?」


目をあわせずに答えると、
ため息交じりに葉月が続ける。


「次の大会のことで
相談したいことがあるんだけど」


「今じゃだめ?」


ボールを磨きながら
ちらりと葉月に視線を動かすと

葉月が諦めたように肩をすくめる。


「あのさ、
最近、全然練習に集中できてないよね。
一ノ瀬らしくないよ」


「関係ないだろ」


「中学の時から一ノ瀬の活躍は、
知ってたよ。

当たり前じゃん、 
私だってバスケやってたんだから。
だからこそ、心配してるんでしょ」


返事をせずに聞き流していると
葉月が声を尖らせる。


「そんなんで、次の大会、大丈夫?

私が口を出すことじゃないかも
しれないけど、

大学のスカウト、
2年のことも見てるんだよ」


「分かってる」


「あのさ、もし、
あーいうのが煩わしいなら…」


「あーいうの?」


「男バスの応援団。……っていうか、
一ノ瀬のファンクラブの子たち。

最近、いろいろありすぎたせいで
練習に集中できないんでしょ」


「葉月には、関係ない」


ボールから目を離さずに
強い口調で答えると、

ためらいがちに葉月が続ける。


「だからさ、
もし、あーいうのが煩わしいなら……

その、私が一ノ瀬の彼女のフリ
してあげようか?」