朝歌らしくない、歯切れの悪い話し方に
動きを止める。
「朝歌?」
聞いてはいけないことを
聞いてしまったのかもしれない。
辛そうな朝歌と叶奈ちゃんの表情に
胸が詰まる。
「あの日、私が羽衣のことを
神社に誘ったりしなければ
羽衣が大ケガすることだって
なかったのにって、
ずっと後悔してたの」
「私も朝歌と同じこと、ずっと思ってた。
ごめんね、羽衣。
一緒にいたのに、本当にごめんなさい」
涙をにじませる朝歌と叶奈ちゃんに
必死で言葉を重ねる。
「ふたりのせいじゃないよっ。
お願いだから、
そんなふうに思わないで」
違うの、ふたりにそんな思いを
させたかったわけじゃない。
ただ、忘れてしまったことを
思い出したかっただけなの。
「朝歌と叶奈ちゃんが
私に居場所をつくってくれるから
今も毎日こうして学校に来れてるの。
そうじゃなかったら、きっと怖くて
学校には通えなかった」
すると、叶奈ちゃんが
思いのほか真剣な口調で続ける。
「羽衣、もしあの時のことを
忘れちゃってるのなら、
もう無理して思い出す必要はないと思う。
今、こうして羽衣が元気でいてくれることが
一番大事なんだよ」
朝歌も叶奈ちゃんの言葉に
強くうなづいている。
思い出そうとすることで、
みんなを悲しませてしまうような記憶なら、
もう、思い出さないほうが
いいのかもしれない。
そう思うのに心は苦しくて、
どうしたらいいのかわからない。



