隣のキミをもっと溺愛、したい。

すると、困惑した様子で
朝歌が続ける。


「それから、一ノ瀬くんに
シュートの記録を頼まれたって言って、

放課後ひとりで
バスケ部の練習を見に行ってた。

それは覚えてる?」


シュートの記録…?

一ノ瀬くんに頼まれた?


ぶんぶんと首を横に振る。

なにも思い出せない自分に、
胃がキリキリと痛みはじめる。


「羽衣、大丈夫?」


私の様子を気遣うように
優しく声をかけてくれる叶奈ちゃんに

無理して笑顔をつくる。


「シュートの記録なんて、
一ノ瀬くんと、仲良かったんだねっ。

最近は正直、避けられてるのかなって
思うことの方が多いから」


すると、すぐに朝歌に遮られる。


「そんなはずないよ。
だって、女子のなかでは羽衣だけが……」


そこまで言って、朝歌が瞳を揺らす。


「もしかして、羽衣、それも、
……覚えてない?」


不安に声を震わせる朝歌に
慌てて言葉をつけ加える。


「大丈夫だよ!
全部忘れちゃったわけではないの!

だって、朝歌のことも、叶奈ちゃんのことも
ちゃんと覚えてるんだから。

ただ、なにを覚えていて、
何を忘れちゃってるのかが分からなくて

ちょっとだけ困惑してるっていうか!」


苦笑いで取り繕うと
叶奈ちゃんがまっすぐに私を見据える。


「羽衣ちゃん、
石段から落ちた時のことは?」


目を伏せて、しばらく悩んで
ふたりに正直に伝えることにした。