隣のキミをもっと溺愛、したい。

境内では、

凛とした花を咲かせる
椿の鮮やかな赤色が、

灯篭のあかりに艶やかに輝いている。


じっと灯篭を見つめていると、
ぼんやりとだれかの姿が浮かんでくる。


そのおぼろげな姿に、
心臓がトクンと飛び跳ねる。

けれどその姿は輪郭をあらわすことなく、
すぐにぼやけて霞んでしまう。

でも、
早まる鼓動はすごく甘くて優しい。

きっと、

この場所は私にとって
とても大切な場所。

それなのに、
記憶だけが、追い付かない。


『思い出して』って叫んでいる心が、
石段を下るごとに悲しみに沈んでいく。

なくしてしまったのは、
とても大切な思い出。


それだけは、わかる。

神社を訪れて、

失ってしまった記憶を
取り戻すことはできなかったけれど、


なくしてしまったのが、
すごく温かくて優しい思い出
だということだけは、

わかった。