隣のキミをもっと溺愛、したい。

ゆっくりゆっくりと石段を上ると、
少しずつなにかが浮かび上がっては 

沈んでゆく。


お守りの並べられた社務所の前を通り、
足を止める。


色とりどりのお守りのなかでも

花びらをあしらった
良縁守りの綺麗な絵柄に目を奪われる。

なにかを語りかけてくる、そのお守り。

それなのに、私はその呼びかけに
応えを返せずにいる。


無意識のうちに
成就のお守りに手を伸ばし
その手を止める。


あの日、
このお守りを買いたいと思っていた。


でも、誰のために?

お姉ちゃんのため?


しばらくそのお守りを見つめて、考える。

ううん、違う。

お姉ちゃんには、お守りを買ったばかり。


あの日、お父さんに
ふたつの安全祈願のお守りを渡した。

お父さんがアメリカに行く直前に。

そう、お父さんは今、アメリカにいる。
アメリカでお姉ちゃんと会うと言っていた。


そこまで思い出すことができるのに、

どうしてなのか、
お守りを買ったその日のことを
思い出すことができない。