「ごめん、混乱させちゃった?」
心配そうに眉をよせるその人に、
ゆっくりと頭を横にふる。
「本当のこというと、
自分でもよくわからないの。
学校に戻れたのに居場所がないような、
どこか違う場所に立っているような
気持ちになることがある。
なにか、すごく大切なことを
忘れてるのかもしれないって思うのに、
その大切なことが、分からないの」
話しているそばから
頭の奥から強い痛みが響き、
ぎゅっと目をつぶる。
「ごめん、ごめん。
無理しなくていいよ。
あのさ、天野さん、
けっこう学校休んでたでしょ。
そのあいだ、
一ノ瀬がかわりに
この花壇の世話してたんだよ」
「え?」
「毎日、ここで水やりしてたよ。
あいつ、そういうの
ホント興味ないんだけど」
「そう、なんだ」
「一ノ瀬、不器用だけど
悪いやつじゃないから。
それだけは、わかってやって」
「うん」
そのひとがグラウンドへと去っていくと、
花壇の側にゆっくりとしゃがみ込み、
生き生きと花を咲かせる小さな花に
そっと触れる。
そっか、一ノ瀬くんが面倒をみてくれたから
枯れずに済んだんだ……
ここの花壇、
忘れられちゃうことが多いから。
「一ノ瀬くんが面倒見てくれて
良かったね」
そう呟いて
小さな花に触れると
なぜなのか、
ポロンと一粒の涙がこぼれ落ちた。
「あれ? ……涙? どうして?」
こぼれてくる、
涙の理由すらわからないなんて、
情けなくてたまらない。
思い出そうとすればするほど、
頭の奥がズキズキと響き始めて、
胸に鋭い痛みがはしる。
戸惑う私の心はおきざりのまま
ポロポロとこぼれ落ちる涙は
土に滲んで消えていった。
心配そうに眉をよせるその人に、
ゆっくりと頭を横にふる。
「本当のこというと、
自分でもよくわからないの。
学校に戻れたのに居場所がないような、
どこか違う場所に立っているような
気持ちになることがある。
なにか、すごく大切なことを
忘れてるのかもしれないって思うのに、
その大切なことが、分からないの」
話しているそばから
頭の奥から強い痛みが響き、
ぎゅっと目をつぶる。
「ごめん、ごめん。
無理しなくていいよ。
あのさ、天野さん、
けっこう学校休んでたでしょ。
そのあいだ、
一ノ瀬がかわりに
この花壇の世話してたんだよ」
「え?」
「毎日、ここで水やりしてたよ。
あいつ、そういうの
ホント興味ないんだけど」
「そう、なんだ」
「一ノ瀬、不器用だけど
悪いやつじゃないから。
それだけは、わかってやって」
「うん」
そのひとがグラウンドへと去っていくと、
花壇の側にゆっくりとしゃがみ込み、
生き生きと花を咲かせる小さな花に
そっと触れる。
そっか、一ノ瀬くんが面倒をみてくれたから
枯れずに済んだんだ……
ここの花壇、
忘れられちゃうことが多いから。
「一ノ瀬くんが面倒見てくれて
良かったね」
そう呟いて
小さな花に触れると
なぜなのか、
ポロンと一粒の涙がこぼれ落ちた。
「あれ? ……涙? どうして?」
こぼれてくる、
涙の理由すらわからないなんて、
情けなくてたまらない。
思い出そうとすればするほど、
頭の奥がズキズキと響き始めて、
胸に鋭い痛みがはしる。
戸惑う私の心はおきざりのまま
ポロポロとこぼれ落ちる涙は
土に滲んで消えていった。



