むむっ、

礼くんのあのアイドルスマイルだけは
まだ慣れない……


と、思っていると。


「「ええっ！」」


「ちょっと！！
鷹島先輩と羽衣って親戚なの?」



教室が震えるほどの悲鳴に
ハッとする。


わわっ！
そうだった！

礼くんのこと、
みんなに言ってなかったんだ！


「黙ってて本当にごめんなさい」


みんなに頭をさげて謝った。


「礼くんが編入してくるのは
知ってたんだけど、

気が付いたらスポセン３とか言われて、
すごく有名になっちゃって」


あ…っ、

そうだ、スポセン３。


記憶の底からポコッと湧き上がるように、
その言葉を思い出した。


「なんだか言いにくくなっちゃって。
黙ってて本当にごめんなさいっ」


静まり返る教室で
不安な思いで、立ち尽くす。

すると……

「なんだー、言ってくれればいいのにっ」


「ま、でも言いにくいよね。
有名だもんね、鷹島先輩」


「それにしても、
やっぱり鷹島先輩、優しいよね～。

わざわざ教室にまで来て、
羽衣のフォローするなんてさ！」


「ほんとっ！　
たとえ親戚だったとしても、
なかなかあそこまではできないよね」


うん、たしかに礼くんは優しい。

でも、みんなも、すごく優しいんだよ。