【一ノ瀬side】
病棟から1階の待合ホールに降りて
出口に向かうと、
総合受付の前におかれた長椅子に
鷹島が座っていた。
「気がついた?」
鷹島と目を合わせないまま
通り過ぎようとすると、
鷹島がじっと前を見つめたまま
話し続ける。
「羽衣、ところどころ、覚えてない。
忘れてることにさえ、気が付いてない。
あんたの追っかけに押されて
石段から落ちたことも
覚えてないよ。
まあ、それについては」
そこまで言って、
鷹島が視線を落とした。
「このまま思い出さなきゃいいと思ってる。
悪意で石段から突き落とされて
記憶飛ばして、
入院するほどの大ケガしただなんて、
一生忘れたままでいいだろ。
すっぽり抜けてる記憶がもどるかどうかは、
医者にもわからないらしい。
事故の直前直後の記憶がなくても、
ほとんどの人が
普通の生活にもどっていくらしいから
大騒ぎする必要もないし、
心配する必要もない」
「天野、いつかは思い出すんですか?」
「場合に、よるらしい」
乾いた声で答える鷹島は、
天野が入院してから
ずっと天野に付き添っているのか、
学校も部活も休んでいるようだった。
天野のすべてを知っているかのように
鷹島は天野の症状を語る。
どうして、
鷹島が天野のいちばん近くにいるんだよっ。
どうして、
天野がこんな思いを
しなきゃいけないんだよっ‼︎
抱えきれないイラ立ちが渦を巻いて、
理不尽だとわかっていても
そのイラ立ちが
目の前の鷹島へと向かう。
病棟から1階の待合ホールに降りて
出口に向かうと、
総合受付の前におかれた長椅子に
鷹島が座っていた。
「気がついた?」
鷹島と目を合わせないまま
通り過ぎようとすると、
鷹島がじっと前を見つめたまま
話し続ける。
「羽衣、ところどころ、覚えてない。
忘れてることにさえ、気が付いてない。
あんたの追っかけに押されて
石段から落ちたことも
覚えてないよ。
まあ、それについては」
そこまで言って、
鷹島が視線を落とした。
「このまま思い出さなきゃいいと思ってる。
悪意で石段から突き落とされて
記憶飛ばして、
入院するほどの大ケガしただなんて、
一生忘れたままでいいだろ。
すっぽり抜けてる記憶がもどるかどうかは、
医者にもわからないらしい。
事故の直前直後の記憶がなくても、
ほとんどの人が
普通の生活にもどっていくらしいから
大騒ぎする必要もないし、
心配する必要もない」
「天野、いつかは思い出すんですか?」
「場合に、よるらしい」
乾いた声で答える鷹島は、
天野が入院してから
ずっと天野に付き添っているのか、
学校も部活も休んでいるようだった。
天野のすべてを知っているかのように
鷹島は天野の症状を語る。
どうして、
鷹島が天野のいちばん近くにいるんだよっ。
どうして、
天野がこんな思いを
しなきゃいけないんだよっ‼︎
抱えきれないイラ立ちが渦を巻いて、
理不尽だとわかっていても
そのイラ立ちが
目の前の鷹島へと向かう。



