隣のキミをもっと溺愛、したい。

「羽衣、検査だって。
おばさんが今、先生とこっち向かってる」


「あ、うん。わかった」


すると、礼くんに促されるようにして、
一ノ瀬くんが立ち上がった。


「あ、じゃ、帰るな。
プリントとか手紙、ここに置いておく」


「一ノ瀬くん、来てくれてありがとう」


じっと立ち尽くしている一ノ瀬くんに、
なにか声をかけなきゃと思うのに

なにを伝えればいいのかわからない。


なにか、すごく大切なことを伝えなきゃ、
って思うのに、

その大切なことを、
思い出すことが出来ない。


そんな自分に戸惑いながら
一ノ瀬くんの背中をじっと見つめる。


「天野」


「ん?」


「……いや、早く治るといいな」


「わざわざ来てくれて、ありがとう」


振り向きざま
一ノ瀬くんの瞳が悲しそうに大きく揺れて、

なぜなのか
去っていく一ノ瀬くんのうしろ姿に

胸の奥がずきんと痛んだ。