隣のキミをもっと溺愛、したい。

「一ノ瀬くん、どうしたの?」


なんだか、いつものぼんやりしている
一ノ瀬くんとは、様子がちがう。


なにか、あったのかな。


「とにかく、天野が無事で、よかった」


絞り出すようにその言葉を口にした
一ノ瀬くんを不思議に思いつつ、

頭を下げる。


「お騒がせしましたっ」


ホント、情けなくて苦笑い。


「笑い事じゃ、ないだろ。
こんなケガして」


「あ、うん」


と答えたけれど。

うーん。

なんだか、
会話がうまくかみ合ってないような?


気のせいかな?


暗い表情で視線を落とす一ノ瀬くんに
笑顔をつくる。


「さすがにまだ
退院はできないみたいだけど、

ケガはもう大丈夫だよ」


「そっか」


一ノ瀬くんをじっと見つめる。



「どうした?」


「一ノ瀬くん、
普通に話すんだなと思って!」


「なんだよそれ」


「だっていつも眠そうにしてるから!」


「それは天野も同じだろ」



「はは、そうだね!」


と、笑いかけて首をかしげる。


あれ?

前にもこんな会話を
したことがあるような気がするんだけどな。


気のせいかな?



「痛みは?」


「まだちょっと痛いけど大丈夫。

記憶喪失にもなってないよ。
ちゃんと一ノ瀬くんのことも覚えてるし!」


冗談交じりに答えると、
一ノ瀬くんが視線を落とす。


急に黙ってしまった一ノ瀬くんに
首をかしげつつ、

お母さんがたくさん置いていったアメを
一ノ瀬くんに差し出した。



どんなアメが好きなのか
よくわからなくて、

カゴに入ったアメを
そのまま一ノ瀬くんに差し出した。


「アメ、良かったらどうぞ!
お母さんがたくさん買ってきてくれたの。

一ノ瀬くんはどのアメがいい?」



迷わずにいちごみるくキャンディーを
手にとる一ノ瀬くんに

少しだけ驚く。


「意外! でもおいしいよねっ」


身動きせずに
固まっている一ノ瀬くん。


そんな一ノ瀬くんを
キョトンと見つめつつ、

私も同じアメを口にふくんだ。


「私もこのアメ好きなんだ! 
あれ? 

アメ食べて大丈夫だよね? 
ただのケガだしね!」


すると一ノ瀬くんが
ためらいがちに口を開く。


「天野、あの、約束のことだけど」


「約束?」


と答えたところで、
礼くんが入ってきた。