隣のキミをもっと溺愛、したい。

放課後、
いつものように下駄箱で
朝歌を待っていると、

礼くんがやってきた。


「羽衣、
お父さんアメリカ行ったんだって?」


「うん、向こうでお姉ちゃんに
会ってくるって!」


「そっか」


視線を落とした礼くんに、
少し声を潜めて一歩近づく。


「早くお姉ちゃん帰ってくるといいね」


「そうだな。羽衣も寂しいだろ」


「礼くんほどじゃないよ?」


すこし悲しげに笑った礼くんが、

いつものように私の頭をなでようと
手をのばした

その時。


誰かが礼くんの腕をぐいっとつかんだ。


あっ……


と、思ったときには、

一ノ瀬くんが
礼くんの胸をとんと押して

鋭い目つきで
礼くんを見据えていた。


「い、一ノ瀬くん、どうしたの?」


突然あらわれた一ノ瀬くんに
びっくりして目を見開く。


一ノ瀬くんは返事せずに
礼くんに射るような視線を 

投げつけている。


「鷹島先輩、
サッカー部もう集合してましたよ。

早く行ったほうがいいんじゃないっすか?」


殺気を漂わせている一ノ瀬くんを

礼くんが
ちらりと冷たく一瞥する。


あ、嫌な予感……


「おいっ、一ノ瀬、
それ、先輩にとる態度じゃねえよな? 

お前、調子のんじゃねぇぞ?」


声を荒げる礼くんにゾッとする。

「れ、礼くんっ!」


「大丈夫だよ。この学校で、
羽衣に迷惑かけるようなことはしない。
じゃ、羽衣、またな」


険しい表情で遠く離れていく
礼くんの後ろ姿を

呆然と見送った。


うっ、礼くんの背中に
怒りのオーラが漂ってる。

礼くんの姿が見えなくなると、
ホッと、肩の力が抜けた。


久しぶりに、
素の礼くんを見た気が、する。