「わるい、天野。大丈夫?」


「だい、じょうぶ…じゃない、かも」


真っ赤になって下を向く天野の隣に並び、
歩調を合わせて

ゆっくりと石段を登る。


天野にとって、俺はただのクラスメイトでしかないのかもしれない。


こんなことしたって、
天野を困惑させるだけなのも分かってる。


でも、俺のこと好きになれよ。

俺のことだけ見てろよ。


天野とつなぐ手にギュッと力をいれると、
びくっと天野がからだを揺らす。


天野の瞳が大きく揺れて、
真っ赤な顔で天野が俺を見上げる。

 
でも、まだ足りない。
全然足りない。

もっともっと天野に触れたくなる。


隣で動揺している天野を、
自分だけのものにしたくて

たまらなくなる。


天野、
俺のこと、もっと意識しろよ。


石段を登りながら、 

溢れ出しそうになる天野への想いを
必死に抑えていた。