「もも、こっちだよ」


「…うん。ありがと」


椅子を引いてくれたジュリに従い、そのまま椅子に腰を下ろした。


私の正面に回り込んで、ジュリも優雅に腰を下ろした。


綺麗すぎるせいか、人形のようにも見えてしまう。



「…ももってさ、抱え込むタイプでしょ」


「え?何で?」


突然そんな突拍子もない事を言い出すから、戸惑った。


目を細めて笑うジュリは、どこぞの天使の置物のようだ。


メニューを広げて眺めると、肘をついて顎を乗せた。


「ももは可愛いね」


「…意味分かんない」


はは、と笑う姿まで、キラキラ輝くようだ。

周りの視線がジュリ一直線だ。


本当に、何でこんな人が私なんかに…。


「あ、飲み物は?」


「ん~…そうだなあ」


メニューを一緒に覗き込み、一通り目を通す。


たまにはブラックとカフェオレ以外もいいなあ。


「キャラメルフラペチーノ」


「ん、おけー」


そう言って手を上げてウェイターを呼び、注文をする。


一連の動作まで、目を引いてしまう。


本当に何者なんだろう。