あなたの嘘の隠し方



彩未「さてっ…と!」


洗い物を終え、先ほど食事をしていたテーブルの前に仁王立ちする


彩未「勉強のつづきやるぞー!」


大嫌いで手を付けたくないからこそ
気合いを入れるために大げさに声を出し、
食事のために避けていたよだれ付きのプリント用紙をテーブルに並べた


おば「ふふ、頑張ってね」


おばあちゃんは彩未の向かいに座り、ノートとペンを用意して
次の日の日替わり定食のメニューを考え始めた


メニューを考えている時のおばあちゃんは
下唇を少し突き出して、うんうんと頷きながら楽しそうにペンを走らせる


おばあちゃんのその姿が好きな彩未は
ほっこりした気持ちを心で暖めながら勉強を進めて行った



ヴー ヴー ヴー


2時間ほど経っただろうか

彩未の携帯が震える


時計を見れば21時頃を指している

おばあちゃんはメニューを考え終えてテレビに目を通していた



彩未「お母さんからだ」


電話に出ると、「着いたよ」と一言



おば「今日はお母さんなんだね」


彩未「そうだね!お父さんはまだお仕事かなー」


電話を切り、荷物をまとめる
おばあちゃんは薄手の上着を羽織り外まで見送る準備をしている



彩未「いいよ、おばあちゃん、いつも外まで出なくったって…」


おば「私が見送りたいだけだからね」



雨が降ってても寒くても必ず見送ってくれるおばあちゃん
頻繁に会っていてもこの習慣は突き通している