あなたの嘘の隠し方


彩未「…」


軽快に食事をしていた彩未が、急に手を止めぼーっと考え事を始めた事におばあちゃんが気付く


おば「あやちゃん?」


彩未「えっ!?あ、なに?」


びくっと肩を揺らし、緩んでいたスプーンを握る手をぎゅっと固く結ぶ


おば「…何か考え事?テストのことかな?
それとも、あまり美味しくなかったかな?」


覗き込むように首を右に傾け、不安そうながらも微笑む


彩未「あ、違う違う!すっごく美味しいよ!
て、テスト近いからどうやったら効率よく勉強出来るかなーなんて…」


あはは、と情けない笑いがこみ上げながら
また私はカレーを食べ進めた


おば「そっかそっか…珍しいもんだね
いつも、「もうなるようになれー!!」って
投げやりになってるのにね
確かに大人に近づいてるのかもねぇ」


彩未「もう!バカにしてるでしょー!」


冗談を言いながらの食事
いつものおばあちゃん
落ち着く笑顔


何となく、聞くことを避けてしまった


別に普通に聞けばいい

「毎月16日は何でカレーなの?」

なんて、普通の質問じゃないか


でも、昔からそうだった
あまりおばあちゃんは自分のことを話したがらない


というか、聞きづらい雰囲気というか


いつもニコニコで
誰にでも優しくて親切で

だからこそかも知れない


おばあちゃんが
何を考えているのかが全くわからないのだ


それとは裏腹に
私が考えている事は大体バレている気がする


年長者の余裕とか勘というやつだろうか


少しのモヤモヤを心の隅に置きながら
まだ熱々のカレーを頬張った