謝ろうとした瞬間、私は握られたままの腕を強く引っ張られた。 え……。 甘い香りに包まれる。 私、抱きしめられているの? 「葉山ちゃん、ごめん。でもっ」 頭が真っ白になる。 分かるのは、抱きしめられている、と言う事実だけ。 涙も止まってしまった。 「葉山ちゃん。俺は、葉山ちゃんを泣かせるだけなのかな」 耳元で聞こえる佐伯くんの切なそうな声に、私の動きは止まった。