恐怖症、克服しますっ!




怖いっ。

私たちの前で仁王立ちしている佐伯くんは『男の子』だ……っ。


私は、サッと一条くんの後ろに隠れた。

一条くんのブレザーの背中部分を握る。



「ちょ、葉山ちゃん! 俺のこと嫌いなのっ?」

「そういうわけじゃ……」

「佐伯……。お前は教室に戻れ」

「一条っ! お前こそ教室戻れっ! てか、顔赤くすんな!」

「赤くしてねぇよっ」



うー。

一条くんに佐伯くんが掴みかかりそうな勢いだ。


佐伯くんへの言葉遣いが少し荒くなっている一条くん。


2人のやり取りを、私は背中に隠れながら聞いている。