「話……なんですけど、」 「うん」 一条くんが私の方へ体を向ける。 この人は。 私の話を、ちゃんと聞いてくれる……。 そう確信した。 だから、話したい。 「……私、男性が……怖いんです」 『男の人』を目の前に何を言っているんだろう。 って、本当に思う。 「何かされる……とか、そんなんじゃなくて。存在自体が怖くて」 「うん」 「小学校の時。クラスの人気者だった男の子と仲良かっただけで、女子からいじめを受けて。 いじめを受けていた私を、その男の子は助けてくれなかった」