「顔をあげて」 一条くんの優しい声。 私は優しい声に負けて、頭をあげた。 「ごめんなさい……」 「葉山さんさえよければ、その、話したかったことを聞かせて欲しい」 「一条くん……」 ダメかな? と、言うように一条くんは首を傾げる。 ……ダメじゃない。 ダメじゃないよ。 だって、そうだよ……。 今まで避けていたことには変わりないし、1年の時に存在すら知らなかったことにも変わりはないし。 一条くんには、ちゃんと話そう……。