「葉山さん……」 「はい……?」 「俺、熱ないから」 いやいや。 「顔赤いよ?」 「そ、れはっ……。葉山さんがっ」 一条くんは言葉をとめた。 私が……? 何だろう? 私が首をかしげていると。 「とりあえず、手……。離して」 手? ……あっ。 「ごっ、ごめんなさいっ」 私は勢いよく手を離した。 私なんかに手を握られたら嫌だよね。 ごめんなさい。ごめんなさい。 心の中でひたすら謝る。