「私のことは“千夏”って呼んで!」 「……千夏、ちゃん?」 「千夏!」 「ち、か……ちゃん」 やり直し! と、やり取りが続く。 呼び捨てをすることには慣れていないけれど、なんだか嬉しい気持ちになった。 少しくすぐったいような。 今まで味わえなかった感覚。 私は思わず笑ってしまった。 「ふふっ」 「……」 その瞬間、千夏が停止した。 まずいことでも言ってしまっただろうか。 いや、思わず笑ってしまっただけなんだけれど。 不快感でも与えてしまっただろうか……。