体育館から飛び出した私。

後ろで、葵と千夏が私の名前を呼んだけれど、私の足は走ることをやめなかった。


泣きながら走る。

さっきまで興奮していた気持ちがスッと冷める。



ダンス……。

今までの中で、1番輝いていた時間だと思っていたのに。

その輝きが、涙に変わる。



『好きな子に……。会いたい』



一条くんの言葉が頭から離れない。


好きな子、居たんだ……。

一条君の好きな子、って誰なの?

好きな子が居たならっ。



思わせぶりな態度、しないでよ……。


その思いは、言葉になることなく、私の心に重くのしかかった。