「その手、離してもらえます?」
私の腕をつかむ、男の前に立つ一条くん。
さっきまで一条くんの近くにいた女の子の姿は、すでになかった。
「なんだ、てめぇ。関係ないやつは引っ込んでろ」
男の手に力が入る。
腕の痛みに、顔をしかめる。
「関係なくないから」
一条くんに、殴りかかりそうな勢いの男。
怖くて目をぎゅっと閉じる。
その瞬間。
男の腕が私から離れた。
何が起こったのか分からず、目を開けると。
男の腕を握り上げている、一条くんがいた。
「もう、この子に手を出さないよね?」
一条くんの目が笑っていない。
腕を握られた男の顔は、青ざめていた。
「手、出さないんだよね?」
「はっ、はいっ」
男は、一条くんの手を振り払って逃げ出した。



