私はしばらく、その場に立ち尽くしていた。
一条くんを追いかけることも出来ず、彼に背を向けて立つことが精一杯だ。
先日のネックレスの件から、私たちの間に溝が出来てしまったような気がする。
気がつけば、隣には葵と千夏がいた。
チラシを片手に、もう片方の手は私の背中をさすってくれている。
私は、ハッと我に返る。
「ごめんっ。ちょっと、ボーっとしてた!」
私がチラシ配りを再開させようとすると、その手は2人によって止められた。
「一条に何言われた?」
千夏が聞いてくる。
話そうか、話さないか迷っていると。
「言っていいんだよ。私たちは美桜の笑顔が見たいから」
私は涙をこらえようと唇を噛む。
でも、我慢できなくて。
涙腺は崩壊した。



