涙が止まったのか、顔をあげる佐伯くん。
その表情は、先ほどより晴れやかで。
ほっとした。
「美桜ちゃん、ありがとね」
「何もしてないよ」
佐伯くんの目は、少し赤くなってしまったけど。
こうやって、弱さ、強さを見せてもらえるのは、嬉しい。
「そういえば、美桜ちゃんの話って何ー?」
あ。
そうだった。
私、佐伯くんに聞きたいことがあって呼んだんだった。
「昨日の話なんだけど」
「うん?」
「家に来たって、お母さんから聞いた」
何かあったの?
と、聞くと、佐伯くんは「あー」とか言いながら教えてくれた。



