「美桜ちゃんーっ」 私が話しかけると、笑顔を向けてくれる佐伯くん。 その瞳はやっぱり曇っていて。 なんで、そんな目を、顔をするのかが分からない。 「佐伯くんに話があるの」 私は、佐伯くんの返事を聞く前に自分の席へ戻っていた。 ……あれ? 私、怖いと思わなかった。 女子の集団の中に飛び込んで、佐伯くんに話しかけることを『怖い』と思わなかった。 いつもだったら、自分なんて場違いだ、なんて思って尻込みしてしまうのに。 それだけ、感情的だったのかな。 分からない。