「まぁまぁ、美桜も疲れているだろうから、座りなさいっ」
語尾に音符マークが付きそうなほど弾んでいるお母さん。
正反対の、何も喋らないお父さん。
……何があったんだ?
その答えを教えてくれたのは、お母さんで。
「さっきねー。奏くんがお家に遊びに来てくれたのよっ」
奏くん……。
「……佐伯くんが!?」
私は驚きのあまり、すっとんきょうな声をあげる。
佐伯くんがどうして家に?
「そう。奏くん、名字が変わった、って言っていたわぁ」
「うん。それで、なんで家に来たの?」
私が尋ねると、お母さんは頬を緩ませながら私に抱きついてきた。



