だけど、佐伯くんの辛そうな顔を見たくなくて。
私になにが出来るかなんて分からない。
それでも。
佐伯くんには、いつもの明るい笑顔に戻って欲しいと思うんだ。
「佐伯くんは、そのままの佐伯くんでいて欲しい」
「……美桜ちゃん!」
ガシャン、とブランコの鎖が揺れる音がしたと思うと。
佐伯くんに抱きしめられている私がいた。
「そんなこと言われたら、俺、美桜ちゃんのこと諦めないよ?」
耳元で囁かれて、ドキッとしてしまう私。
「美桜ちゃんのこと、ちゃんと守るから」
そばにいさせて……?
本当に、私はずるい女だと思う。
佐伯くんの気持ちに応えられないのに、頷いてしまう私がいる。



