だけど、私は佐伯くんの気持ちには応えられない。
私は一条くんのことが好きだから……。
その気持ちに変わりはないから。
悩んだ結果、佐伯くんには、ありのままの気持ちを話そうと思った。
「私は、佐伯くんの気持ちには応えられない」
「うん、」
「守ってもらうのも嫌……」
ごめん。
と言いかける佐伯くんの言葉を遮って私は言葉を続ける。
「佐伯くん、今、すごく苦しそう。……苦しいと思う」
「そんなことは、」
「守ってばかりは嫌だから、私も佐伯くんのこと守りたいと思う」
ずるい答えだとは思う。
気持ちには応えられないのに、守って欲しいとか。
守りたいとか。
本当に卑怯でずるいと思う。



