もう、声だけで分かる。 一条くんだ。 「一条っ! 俺はなー、美桜ちゃんと挨拶してるのっ」 いやいや。 抱きつくのが挨拶だったら、外国へ行きなさい。 「だったら、外国でも行って来い」 私が思っていることを、一条くんが代弁してくれた。 ありがとうっ、一条くん……! 一条くんの言葉に、しぶしぶ離れる佐伯くん。 「外国行ったら、美桜ちゃんと会えなくなる……」 佐伯くんがぽつりと、そう言った。 いや、本気で「外国行け」とは誰も言ってない。