恐怖症、克服しますっ!




佐伯くんの私を抱きしめる腕が緩んだ。


私は佐伯くんと少し距離を取った。

そして、佐伯くんの頬に両手を添える。



「……葉山ちゃん?」


「佐伯くんも、辛かったんだね」


「だけど、それは理由にならない……っ」



佐伯くんが顔をゆがめる。

綺麗な顔立ちなのに。

もったいない。



「佐伯くん」



佐伯くんも、ずっと私のこと引きずってくれていたのかな?


それだったら……。


お互い、痛み分けじゃないかな?

私も辛かった。



でも、佐伯くんも、人には言えない悩みをいっぱい抱えて辛かったんだよね。