山窩村



莉音はまだ少し震えるが、守の手を借りながら立ち上がった。
私達は固唾を呑み、八尾島の後に続いて旅館を出た。

旅館の外には何人かの仮面の人達が見えたが、私達を歓迎する時のような感じではなく、各々やるべき事があってチラッとこちらを作業しながら見るくらいだった。

少し歩いて、八尾島は私達が降りてきた石階段に着いて八尾島は腰を抑えながら登り始めた。
石階段には先程まではいなかった大柄な大人の仮面の人が門番のように木の棒を持って立っていた。

仮面越しに私達はジーッと見つめられ、気味の悪さから目線を逸らして石階段を登った。
すると八尾島は石階段を登り切った小さい錆びた鉄の門で立ち止まった。


え?....ここ抜けるだけでもう村から出られるんだけど...もしかして私達を逃がしてくれるのかな?


この村を出るにあたって目的地といっても過言ではないトンネル付近へ続く山道の入口まで簡単に来れたことに、私達は開いた口が塞がらなかった。


「ここに理由がありますー。あなた達が出れない、そして村の住人のワシらすら出られない理由、是非身をもって体感してくださいましー。」


八尾島は私達に道を開けると、鉄の門へ行くように促した。