「え」 「あ」 ――パタン。 閉められたドアを呆然と見つめる。 朱里くん、帰ってたんだ。 「え」って言って「あ」って返すだけのできごと。 ……っ、ちがう! ぜったいに見られた! 「きゃあああああああああああああ」 たまらなくて絶叫したら「どうした!?」って朱里くんのぎょっとした声がドアの向こうから聞こえた。