【完】君に惚れた僕の負け。


家に帰って、すぐにお風呂に入ってもらった。



お風呂あがりの朱里くんの両手をとると、あったかくて泣きそうなほど安心した。



「……酷いこと言ってごめんね、朱里くん」



言葉でいっぱい傷つけてこんなこと後から言われても都合よすぎるって思うけど。



「触らないでなんて思ったことないから……」



「いいよ無理しなくて。俺もやりすぎたのわかってるし、反省してるし。もうしないから」



『もうしない』なんてそんな言葉は全然求めてない。



あたし、ばかだった。



「ちがうの。本当はあたし……朱里くんにもっと触られたい」




両手を掴んで見上げる。



朱里くんの手は握り返してなんかくれないけど、



でも朱里くんは笑った。すごく呆れっぽく。




「……お前さ、小悪魔にもほどがあんじゃないの?」