踵を返して、教室に戻った。



「あれ?恋々、幼なじみはいいの?」



お弁当を開いていたヒナがきょとんとして顔を上げた。



「いいの」



朱里くんなんか知らない。



「恋々、不機嫌だね」



ヒナが池田くんに耳打ちしてるの、聞こえてるよ。


だって、なんか、あんなの面白くないんだもん。


「幼馴染と喧嘩でもしたの?」



池田くんもふうちゃんもヒナもあたしを見上げる。



首を横にふった。



「なんでもない。食べよ」



ツンと唇を尖らせたまま、お弁当を開いた。



悔しいけどそれを見たら、口元はどんどんほころんじゃう。



「……おいしそー……」



今日は、朱里くんがお弁当を作ってくれた。



「うわ、うまそ。恋々のお母さんまじで天才だよな。料理の才能ってDNAじゃないんだなぁ」



ふうちゃん、それはあたしに失礼だから。