「まだ夫婦でもないのに男女が夜に2人っきりなんて危険だと思わないのか?」


「えっ?どうして?」




ジョシュアの言っている意味が分からずにいると、彼は急に近づいてきて壁に両手をつく。

私は見事に閉じ込められている状態になってしまった。





「こうやってシャルロットをどこへも行かせないことだってできる。それ以上にどんなことをされるか分かる…?」





「どんなことって…」




私はいつになく大人びたジョシュアの瞳から逸らせないでいると彼の手が私の唇をなぞった。

その感覚に体が反応してビクリと震わせる…。



ジョシュアはずるい…。

いつもは明るくて一緒にいて楽しい人なのに、ふいに見せるこんな姿ももっているのだから…。



ジョシュアが至近距離で私を見つめ、私も視界いっぱいに映る彼の瞳から逸らせないでしばらく静かにお互いを見つめ合っていると、先に視線を逸らしたのはジョシュアの方だった。

それと同時に壁についていた手からも解放される。




「ごめん…今のはやりすぎたな」


「ジョシュア…あの…」


「もう戻った方がいい。これ以上ここにいると耐えられそうにないんだ…」




私は彼の言っている意味が分からなかったけれど、大人しく従い再び扉に手をかけた。




「お休みなさい、ジョシュア」


「うん…お休み」




バタンと扉を閉めて私は自室へと戻る。

さっきなぞられた唇が熱い…。

きっと口紅をしなくても真っ赤に染まっていることだろう。



それにしてもさっきは何だかジョシュアらしくない一面を見た気がする。

間近で見た彼の顔はとても端正で…。

私はジョシュアのもつ二面性にドキドキしながら足早に歩いていくのだった。